第7日目
( 10月6日)
ヴァン → カラダット
本日は本ツアー最長の移動日とあって、早朝の出発のため、4時45分起床。5時半には朝食に降りた。昨夜は寝てから凄い落雷の音を聞いたが、日中は大丈夫だろうか。
6時33分、ホテルを出発、一路、ネムルート山の麓の町カラダットへ向かう。何と850kmの大移動とか。
しばらくは右手にヴァン湖を見ながら進む。幸いにして天気は回復し、昨日行ったアクダマル島がよく見える。
行けども行けども右手にヴァン湖が見え隠れする。琵琶湖の5倍というのも頷ける大きさだ。
クスクンクラン峠(2235m)を越え、8時15分、やっとヴァン湖の西端の町タトワンに着き、ガソリンスタンドでしばしの休息となる。
タトワンの町を後に10分余り走ったところで、左手に何やら廃墟らしきものが見えてきた。前年の春にイランを旅したときに見たお馴染みの遺跡なので、近づいた時ピンときたが、果たしてそれは13世紀セルジュク帝国時代のキャラバン・サライ(隊商宿)だという。
時間的にとても中まで見学できる余裕はなかったが、せめて外観の写真だけは撮りたいものと、一時ストップしてもらいカメラに収めた。
次にストップしたところは、マクバティ橋という12世紀に建造された石造りの太鼓橋。
長さ37mで、建造当時は世界で一番長い橋だったとか。(本当かな? どうやって確認したのだろう?などと疑問視するのは下種の勘ぐりか。)
一方、下に流れている川は、4大文明発祥の地の一つ、メソポタミア文明を生んだことで知られるチグリス川である。
想像していたより、川幅そのものはそれほどでもないが、緩やかに流れる川面を見やるとき、歴史の重みをひしひしと感じた。
感慨にふけりつつ橋の上を歩いてみた。と、そこに二人のクルド人と思しき老人が佇み暖をとっていたので、頼み込んで写真を撮らせてもらった。
更にバスに揺られて西に進むこと約80分、ディアルバクルの町に入る。
ディアルバクルは人口約82万を擁する大きな町で、バクルとは銅という意味とか。昔ここで銅が大量に採れたことからこの名がついたらしい。またスイカの産地でもある由。
なお、この町は全長5.5kmのビザンティン時代の城壁で囲まれた町としても知られ、これは万里の長城には遠く及ばないものの、一応、世界第2位とのことである。
現在はトルコ南東部の重要な地方都市として発展しているとか。真新しい中層の住宅群が印象的だった。
昼食は2階以上が住宅になっているビルの1階の「YOREM SOFRA SALONI」という店でとる。
メニュは、サラダ、イチリキョクテ(揚げ肉団子)に、メインはカブルガドルマス(羊肉をピラフに載せたもの)に、当地産のスイカであった。
ちなみに、カブルガとはあばら骨という意味だそうで、そうすると、この羊肉はあばら骨周辺の肉だったのだろうか。どうりで筋っぽかったが、それほど固くなく、なかなか美味であった。
この町にはクルド人が多いとかで、この店で働いている人もみなクルド人のようだった。
13時40分、ディアルバクルの町を後に更に西にごつごつとした岩の混じる大荒野を進むこと90分、朝が早かったので、単調な景色に見飽きてウトウトし始めた頃、とある湖のほとりで写真ストップとなった。
この湖は、ユーフラット(ユーフラテス川)をせき止めて造られた人造湖とか。
辺りには人っ子一人見られず、静かで落ち着いた、かつ殺風景な雰囲気なり。
なおこの周辺には、タバコや綿花の畑が広がっていた。
バスは更に西に向かったが、途中、シバレキ、アディアマンの2つの町のガソリンスタンドでトイレストップした以外は、特に見どころもなく進み、最後は陽も沈んで、真っ暗な山道に入った。見上げると、空には見事な三日月と満天の星が-----うっとりと見過ぎて首がおかしくなったほどだ。
19時57分、やっとネムルート山麓のユーフラット・ホテルに到着する。
時間が遅いので、直ちにレストラン棟へ案内され、夕食となった。
ここは、ネムルート登山の基地となっているとみえ、各国からの観光客のほか、トルコ国内からの客の姿も見られた。
写真の人たちと目が合い、料理を待つ間しばし話を交わしたことは覚えているが、我々を韓国人と見違えたほかは何を話したか、メモしておかなかったので、忘れてしまった。
ここでのメニュは、お決まりのスープ、サラダに、ギュヴェッチという肉と野菜のキャセロールであった。
夕食後、各自決められた部屋に案内されたが、ここは4室で1棟のロッジ風の造りになっている。
部屋に入ってみて驚いた。ベッドがあるだけで、トランクの置き場所がない上、ましてやクローゼットもない。一応トイレだけは別になっていて、そこにシャワー栓はあるものの、狭いところにトイレと一緒にあるため、使えばびしょ濡れになりそうでとても使う気になれない。
もっとも、これはホテルと思うからいけないので、山小屋と思えば贅沢なほうであろう。
今日はバス移動に終始した一日だったので、歩く機会がほとんどなく、今ひとつ充足感に欠けるものがあった。
(本日の歩数 3659)