古代ガリラヤ舟の発見
この古代木舟は、旱魃によりガリラヤ湖の水位が下がった翌年、1986年の1月、キプツ・ゲノサレの二人の兄弟によって発見された。
イスラエル考古学博物館庁は、多くのボランティアの協力のもと、わずか11日間の突貫作業により、舟を引き上げることができた。発掘者たちは、長い年月湖底に浸され、脆くなった本体をファイバーグラスとポリウレタンで繭状に覆って梱包し、保護水槽に保存した。
保存のために、舟を合成蝋を含むPEG液に浸し、水を補強し、歪曲と腐敗を防止した。大量の蝋は、木から水分や不純物を取り出し、舟を乾燥させ清潔にする。これは将来、博物館での展示を見越しての保護作業であり、14年の歳月が必要と判断された。
舟は、長さ8.2メートル、幅2.3メートル、高さ1.2メートル、ほぞ穴継ぎ方式で継ぎ合わされた条列の上に肋材が釘付けされ、少なくともこの舟は11種の木で造られている。舟の大きさから、5人の乗組員が帆もしくは一組のオールで航行していたことがわかる。造船様式、舟とともに見つかった陶器、更には炭素14分析の結果から、紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて、漁あるいは物資の運搬用に用いられたと推定され、古代ガリラヤ人の様子を表す貴重な遺物てある。