ファテープル・シークリー
ここファテープル・シークリーは、アクバル帝の時代の14年間(1574〜88)都が置かれたところで、下写真が当時の宮殿の遺跡です。アグラから南西に約40km行ったところにあります。
一見、木造建築に見えますが、すべて赤砂岩でできています。
アクバル帝は、自らの権力の安定と領土統治のために諸宗教宥和政策を実践していましたが、この宮殿はまさにその反映で、モザイクの壁面が美しい金曜モスク(写真右奥)、柱と屋根だけで造られた五層の宮殿(写真左手)などにイスラム建築とインド古来の伝統技術の融合が顕著に現れています。
なお、左手前の建物はアクバル帝の居室だったところで、皇帝は侍女たちを駒代わりに広場に並べ、チェスを楽しんだという話です。
水利の悪さから、ここは14年間使用しただけで放棄されたため廃墟となり、そのため、当時の建築物がほぼ原形のまま今日まで残ったということは、歴史の皮肉とでも言うべきでしょうか。