第5日目

( 10月4日)

ドゥバヤズィット→ ヴァン

５時45分起床。雲が切れた状態でアララツト山が拝めるのは６時から30分の間だけと聞いていたので、窓を開け、刻々と変化する山姿をカメラに収める。

どうぞ、こちらをクリックされ、スライドショーでご覧いただきたい。

最後の写真で、右から雲が現れたのにお気づきであろう。６時40分には、頂はもう雲に覆われてしまっていた。

朝食後、ミニバス２台に分乗し、9時にホテルを出発、ドゥバヤズィットの町を抜けてまずはノアの方舟伝説の残る場所へと向かう。

ここドゥバヤズィットの町は、車を飛ばせば、イラン国境までものの20分、裸の荒野を背景に、埃っぽい家並みが、辺境の地特有の侘しさを漂わせているが、雪を戴いて眼前に聳えるアララツト山の雄大な姿が、そんな小さな憂いを吹き飛ばしてくれる。

街並みを抜け、車は広い道を快適に飛ばした後。やがて右折し間道に入ったと思ったら、すぐでこぼこの山道となり、喘ぐようにして登って行く。

ノアの方舟伝説の残る場所

9時25分、ノアの方舟伝説の残る場所を見下ろす小高い丘の上に到着する。

神はノアに「長さ300アンマ、幅50アンマ、高さ30アンマとし----」と、方舟の寸法まで示したといわれる。(１アンマ＝４５ｃｍ)　更に、３階建ての舟で、１階は倉庫、２階はノアら人間を、そして３階に動物たちを乗せるよう指示したとか。

ノアの方舟が漂着したとされる場所はアララツト山付近を中心に諸説あるようであるが、1987年に発見されたこの場所が、今では旧約聖書の記述に最も近い形状ということになっている由。

そしてガイドの指差すほうを見やれば、最初はどれのことを言っているのかわからなかったが、その気になって観察したところ、そういわれてみれば、確かに箱舟型に隆起した箇所があった。しかし、私にはこの下に方舟が埋まっているとはとても思えないのだが、皆さんはどう思われるだろうか。ちなみにここからは舟の残骸と思しき木片も発見されている由。信じる信じないはカラスの勝手ということであろうか。

メテオ・ホール

次いで、更に国境検問所近くにあるメテオ・ホール(隕石孔)へと向かう。国境越え待ちで連なる車列を尻目に、ガンを持った兵士の間を縫って進み、15分ほど行ったところにそれはあった。

1892年に巨大な隕石が落ちた際にできたといわれる大きなクレーターで、ほとんど崩れもせず、ぽっかりと口を開けている。直径35ｍ、深さが70ｍという。これはアラスカにあるのに次いで世界で2番目の大きさとか。

周りが平面なため、どの角度からがいい写真が撮れるかと考えた末、撮ったのが左の写真である。

その大きさを実感していただけるだろうか。

イサク・パシャ宮殿

メテオ・ホールを後に、再び町なかを抜けて郊外を東へ向かうこと約５ｋｍ、またも山道を登ったところに突如として重厚な構えの建物が現れた。王宮生活の夢の跡、イサク・パシャ宮殿である。

ここはセルジュク時代から要塞として使用されていたらしい。宮殿の建造は17世紀末にこの地を治めたクルド人の知事イサク・パシャによって始められたが、工事に99年を費やしたため、完成は孫のメフメット・パシャの時代であったという。

全面積7600㎡の敷地には、ジャミィ、ハレム、浴場、イサク・パシャの墓、牢獄などがあり、上下水施設のほか、蒸気を利用したセントラルヒーティングも備えていたとか。２階建てで部屋数は実に366もあったという。

山腹にあるため、宮殿からの眺望も素晴らしいものがあった。

12時55分、ホテルに帰着し、遅めの昼食となった。

メニュは、サラダ、とまとスープ、野菜とキョフテにピラフで、デザートにトゥルンバという甘い菓子がついた。

13時57分、ホテルを出発し、一路、今夜の宿泊地ヴァンに向かう。

テンデュルク峠を通過し、しばらくすると、溶岩が固まったものが広がる異様な景色が見えてきた。この辺りの山で過去に激しい噴火があったと思われる。

イラン国境に近いためか、しばしば検問ストップがあったが、しばしまどろんでいる内にトイレストップとなる。

ちょうどムラディエの滝という、ちょっとした観光スポットで、マイクロバスに大勢の家族を連れで観光に来ている人もみられた。

滝そのものはご覧の通り小規模なものであったが、清流が淀みなく流れるさまに、しばし疲れが癒される思いであった。

右手にトルコ最大の湖ヴァン湖が見え始め、更にそれが見え隠れしながら走ること1時間、16時44 分、ヴァン湖畔のメリット・ホテルに到着。

ホテルは各部屋から湖が臨める絶好の場所にあった。

到着が早かったので、まずはヴェランダからヴァン湖の写真を撮ってから、入浴を済ませ、しばしベッドで休息した後、19時からの夕食に向かった。

生憎と、私の苦手なビュッフェであった。

20時25分、部屋に戻り、日本に送るハガキを3通ほど書き、本日の日程を終了した。

（本日の歩数　7558）