第5日目
この日の午前中は、ホテルでタクシーを呼んでもらい、バチカンのシスティーナ礼拝堂へ行く。
ここはミケランジェロの祭壇画と大天井画で有名なところである。
さて、バチカン広場に着いたまではよかったが、その入口がわからずウロウロ。歩いているイタリア人にはさっぱり英語が通じない。ヤンキーらしい若い夫婦に出会ったときは正直な話ホッとしたものだ。
ところがこのおふたり、助けの神と思いきや、やはり同じ入口を探しあぐねているところだった。考えてみると、イタリアにおいては、アメリカ人も日本人も外国人なのだから、条件は同じはずであった。
やっと入口を探しあてて中に入る。肝心のチャペルは一番奥にあった。
ミケランジェロが描いた大作「最後の審判」はあっと驚いたほどの素晴らしいもので、特に天井画は、見上げると絵のひとコマひとコマが、まるで生きているもののように眼前に迫ってくる。時間さえ許すなら、いつまでもそこに佇んでいたかった。
さて、この日の午後、3日間の滞在で親しくなったフロントのクラークに再会を約して別れ、パリに飛ぶ。
約2時間あまりのフライトでオルリ空港に着陸、直ちにタクシーで行くこと約40分で市内に入る。市内の混雑ぶりはローマと変わりないが、町全体がどことなく洗練された感じで、スケールも大きく、ローマのいささか泥臭くて田舎じみた感じとはまったく対照的だ。
予約してあったホテルは三流ながら、エトワールの凱旋門のすぐ近くにあり、地理的には絶好であった。
小憩後、夕食のため外に出たが、20時過ぎというのにその明るさには驚いた。まだ楽に写真が撮れるくらいだ。また有名なシャンゼリゼ通りの幅の広かったこと、特に歩道が広い。銀座通りの2倍はゆうにあったろう。
しかしローマの暖かさに比べ、風はさすがに冷たい。無理もない。緯度からいけば、ちょうど南樺太にあたるところだから。