エピローグ
1. アイルランドの概要
旅日記の中で見てきましたように、アイルランドと一口に言っても、それは広義と狭義とで対象が分かれます。
すなわち、アイルランド島全体を指す場合もあるし、イギリス領の北アイルランドを除くアイルランド共和国を指すこともあります。
今回は、いわゆるアイルランド島を巡ってきたわけですが、ここで北アイルランドとアイルランド共和国に分けて、その概要をまとめてみました。
区 分 |
面積(ku) |
人口 |
住 民 |
宗 教 |
公用語 |
北アイルラン ド |
14,149 |
130 |
スコットランド系アイルランド人が60%で、 |
プロテスタントが43% |
英語 |
アイルランド |
70,282 |
370 |
ほとんどがケルト系アイルランド人 |
カトリックが94% |
:ゲール語 |
2. 気候
旅日記の中でも紹介しましたが、とにかく変わりやすい。一日のうちに寒くて震えることもあれば、暑くて汗をかくこともあり、一方、晴れていると思って安心していると、いつの間にか黒い雲がどこからともなく上空にやってきて雨が降り出すという具合で、まさに春夏秋冬と晴曇雨を一日で経験できるという変わりやすさです。
おそらくこれは高緯度にあるため、大気の流れが速いためと思われます。 もっとも冬でも雪は降らないとうことです。
雨は降っても短時間で止むので、雨具はフード付の薄いコートがあれば十分で、期間中、ついに傘は使いませんでした。
気候に関連して言えることは、こんなにも晴れ間が少ないのに、紫外線が強く、日焼けしやすいことです。
これも大気の流れが速くて空がいつも澄んだ状態なので、晴れているときはそれだけ日差しが強いのかもしれません。
ちなみに今回の時期では、日の出が5時半ごろで、日の入りが22時ごろでした。
3. アイルランドの国旗
左がアイルランド共和国の国旗です。
3色の意味は、緑はカソリックを、オレンジはプロテスタントを、白は両者の融和と友愛を象徴しているとのこと。
激しい宗教戦争を繰り返すまいとの決意の現れでしょうか。
なお、アイルランドの国名の由来は、自国ではエール(ire)と呼び、アイルランドはその英語読み。ケルト語の " iar(後ろ側あるいは西側)"が転訛したものだそうです。
アイルランドの遺跡に多く残る十字架は、おおむね右の写真で見るような一見奇妙な形をしています。
これは、5世紀に聖パトリックによって伝えられたキリスト教が、ケルト古来の宗教と融合する形で浸透して行った結果と言われています。
キリスト教にはもともと生まれ変わりという考え方はありませんが、ケルトの宗教には輪廻転生の思想が根強く、先端の円形は、その思想を表しています。
この形の十字架はケルト十字と呼ばれていますが、なかには2mを越すものもあることから、それらをハイ・クロスと読んでいるようです。
5. 物価
一般的に他のヨーロッパ諸国に比し、やや高い感じがしましたが、アイルランド共和国では、すべて20%の付加価値税が内税になっていると知り、納得しました。
6. 道路
道路は悪いと聞いていましたが、高速道路こそまだ僅かだったものの、ほとんどの道路が舗装されており、バス移動中も揺れはほとんど感じませんでした。
7. 通貨
北アイルランドはイギリス領なので、もちろんイギリスポンドですが、アイルランド共和国はユーロでした。
ユーロは今回はじめて使いましたが、硬貨はともかく、紙幣のチャチなのには驚きました。
高度な技術を使った特殊な透かしを施しているとのことですが、見た目には紙そのものがUSドルより小ぶりのうえに、印刷もあっさりしすぎていて重厚感がなく、初めはおもちゃかと思ったくらいでした。
8. 食事
朝は当然ビュッフェ方式でしたが、いわゆるコンチネンタルではなく、質、量とも満足のいくものでした。
昼と夕については、前菜に野菜サラダまたはスープが、主菜に肉か魚料理、デザートは果物かケーキ、それに嬉しいことにコーヒーか紅茶が選択制で必ず付きました。
肉ではポークが、魚ではサーモンが多く出ましたが、主菜には必ずポテト、人参、ブロッコリーの類が付いたように思います。
驚いたことには夕食時のメニュで選択制が4回もあったこと。前菜、主菜、デザートとも、3種類の中から各々が選んだものをサーブしてくれました。
気象の変化の激しい国だけに、それだけ食に対するこだわりがあるのでしょうか。
9. ホテル
どのホテルも一通りの設備を備えており、部屋の広さも十分で、特に問題はなく、従業員もみな愛想良く、受け答えも丁寧でした。
面白いことに、最後のダブリンのホテルを除き、部屋の鍵はすべてカード・キーで、使い捨てで返す必要のないものでした。
右の写真は、ウォーターフォードで泊まったブリッジ・ホテルです。
本文でも書きましたが、すぐ前が入江になっており、橋が架かっていることから、この名が付いたのでしょうか。
キラー二ーのホテルで連泊したときのこと、観光中、ポケットに入れたはずの鍵がないのに気づき、帰宿後、紛失した旨をフロントの女性に申し出ると、"No problem. I'll remake it right away."と言って、こちらの名前と部屋番号、それにあと何泊するかとだけを聞き、すぐ作り直してくれました。
そしてその鍵で部屋に入ると、無くしたはずの鍵がテーブルの上に置かれていましたっけ。(この、そそっかし者め!)
10. アイルランドの人たち
出会った人、いずれもフレンドリーで、明るい人たちでした。
写真を撮りたい旨申し出ると、みな快く応じ、ポーズをとってくれました。
写真を撮らせてもらっただけの人や、しばし話を交わした人などいろいろですが、個々の説明をしますと長くなりますので、ご想像にお任せしたいと思います。
11.スタッフ
最後に、我々一行の世話をしてくれた人たちを紹介しましょう。
左は添乗員のM.N氏です。まだ経験は3年目ということでしたが、我々に対する気配りはなかなかのもので、頼り甲斐のある人でした。
真ん中は、スルー・ドライバーのトムで、堂々たる体躯は、なんと120kgもあるとのことでした。
右はダブリンの日本人ガイドN.Yさんです。彼女のことはすでに本文で紹介しましたね。
下の写真で、左は、ロンドンデリーのガイド、ローラン・マクナマラ氏です。すごい長身で、茶目っ気のある愉快な人でした。
中央は、ベルファストのガイド、ローズマリーさん。気さくなおばさんという感じでした。
右は、スライゴのガイド、マリーさんです。短い時間の中で、多くのことを語るのに苦労していました。
以上で、このながぁ〜いアイルランド旅日記を終わらしていただきます。
最後までお付き合いくださり、誠に有難うございました。