第7日目
(6月9日)
今日は13日間の7日目、中日である。
しかし時差が日本と8時間もあるので、実質的には今日から後半に入ることになる。
朝食後、ゴールウェイを後に、一路バレン高原に向かう。
先ほどまであんなに晴れていたのに、もう雨になっている。
途中、1520年の建立といわれるドゥーンゲア城で写真ストップした後、暫くして道は緩やかな上りとなる。
どこまでも続く石灰岩の丘陵。どこか別の惑星に降り立ったような不思議な光景である。これらの石灰岩は、約2億6千万年前に起こった地殻変動により、海底から押し上げられたものだそうだ。
やがて、お目当ての巨人のテーブルが見えてくる。
まだ遠方のせいか、意外に小さく見える。
とにかくも下車して、ごつごつとした石灰岩の石の上を歩いてそばまで行く。
これはその形から巨人のテーブルと言われているが、実際にはBC3800〜3200年に自然石を使って造られた墓石である。
巨人のテーブルと言うからには、もうちょっと大きなものをイメージしていたので、やや迫力不足の感があった。
ここは大西洋に面し、地の果てを実感する切り立った断崖で、海面からの高さが200m、幅は8kmにも及び、息を呑むような凄まじさであった。
「モハー」とは、ゲール語で「廃墟になった崖」という意味だそうで、岩肌には泥板岩と砂岩の層があり、晴れていれば絶景ということだったが、折悪しく雨がひどくなり、眺望もそこそこに引き上げざるを得なかったのは残念であった。
「断崖の 絶景妨ぐ 強風雨」
さて、この日の昼食は、リスドゥーンバーナという町のレストランで13時からとったが、ちょうどワールドカップ・サッカーの日本対ロシア戦がテレビで放映中とあって、添乗員が気をきかせて、終了まで出発を遅らせてくれたので、遠くアイルランドの地にいながら、日本の勝利を目の当たりにでき、みな大喜びだった。
1976年に「可愛い村コンテスト」で優勝した当時は、色とりどりの石造りの家が並び、赤や黄色の花が咲き乱れる、まるでおとぎ話に出てくるような可愛らしい村であったようであるが、残念ながら現在では車が多すぎ、現代文明が景観を損なっている見本を見る思いだった。
わずかに家々の石壁と、その上に載っている萱葺き屋根に、古きよき時代の郷愁を感ずるものがあった。
18時ちょうどに、豊かな自然と遺跡に囲まれ、アイルランドで最も美しい町といわれるキラーニーのホテルに着き、この日の日程を終えた。