ハンブルク
2日目の午後、リューベックからハンブルクに戻ってきました。
水と緑と潮風と---ハイネが謳い、ブラームズが奏でた街、ハンブルク。
ハンブルクは、一度も一握りの為政者の支配を受けたことがないため、もともと王侯貴族が造った大宮殿などの名所旧跡はなく、自由で闊達な環境が育ち、1189年の開港以来、ドイツの北玄関と呼ばれ、ヨーロッパでも有数の商業の中心地として発展してきたそうです。
第2次世界大戦で、街の大半は焼失しましたが、復興した現在も、州都市としての自治権を持つ町として機能しているようです。
下の写真は、聖ミカエル教会の塔の展望台(高さ82m)から撮った町の景観です。
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ハンブルク市立美術館
19世紀の巨匠コレクションではドイツ一といわれる美術館で、約3000点の絵画と彫刻400点に加え、グラフィックアートやコイン、メダルなどを所蔵しています。
建物は、重厚な円柱や付け柱のある旧館と光あふれる超モダンな新館に分かれていますが、いずれも配置はゆったりしており、見やすい構成になっています。
主としてルネッサンスやバロックの美術、19世紀の美術を展示している旧館を見てまわりましたが、なかなか見応えがあり、1時間余の見学時間では足りないくらいでした。
以下、2点ほど、代表的な作品をご紹介しましょう。
左の絵は、19世紀美術の呼び物のひとつ、小説の中の高級娼婦兼女優を描いたエドゥアール・マネの「ナナ」です。
右下の彫刻は、数少ないルノワールの彫刻のひとつ、「勝利のヴィーナス」です。ルノワールが彫刻を始めたのは晩年になってからで、リューマチのため、思うように粘土を扱えなくなっていたので、これは彼がデッサンしたものを弟子のリシャール・ギノーが彼の指示通りに型どったものだそうです。
したがって、実質的にはギノーと共作ということになりますが、この作品を見ると、絵画と共通する部分が驚くほど多く、やはり、ルノワールの作品といっていいのではないか、という気がします。