第8日目
(7月2日)
(クラコフ滞在)
クラコフ観光の2日目、9時にホテルを出発し、まずは旧市街の南のはずれ、ヴィスワ河畔の丘の上にその華麗な姿を留めるヴァヴェル城に向かいました。
この城は、1320年にゴシック様式で着工されてから数世紀にわたってルネッサンス方式やバロック様式が加えられて建設された大聖堂と、16世紀にジグムント王が建てたゴシックとルネッサンスの複合様式で、現在は博物館となっている旧王宮とで構成されています。
ワルシャワ遷都後も、18世紀まではここの大聖堂で歴代ポーランド王の戴冠式が行われたそうです。
王宮博物館では、16〜17世紀のころを再現した豪華な部屋や、王家の肖像画、戴冠式用の剣やフランドル産のタペストリーなどが展示されていました。
特にタペストリーの展示が多く、見る目のない私にはいささかうんざりでした。
左端の写真は、南側城門の脇に建つ18世紀末、3国分割に反対して反乱を起こしたポーランドの英雄タデウシ・コンチュシコの騎馬像です。この像は、あるとき何者かに持ち去られてしまい、1976年に再建されたものとか。
中央は、大聖堂の広場に面した南側にある金色のドーム、ジグムント・チャペルです。1519〜33年にジグムント王の要請でイタリアから招いた建築家によって建てられたもので、ポーランドにおけるルネッサンス建築の傑作といわれているそうです。
右端は王宮の中庭です。アーケードの施された回廊は、昨日のヤギェウォ大学のそれと一見似ていますが、よく比べてみると、こちらのほうがスマートで、時代の差が感じられます。
ヴァヴェル城を後に、今度は旧市街の北の端にあるチャルトリスキ美術館に向かいました。
ここは、1801年にチャリストリスキ王子の夫人イザベラがコレクションの展示を目的にオープンした国内最古の美術館として知られ、規模はそれほど大きくないものの、14〜18世紀のヨーロッパ、ポーランド絵画や彫刻、武具、アンティークなどが常設展示されており、収蔵品のレベルは1,2を争うとか。
左の写真、絵の好きなお方なら、必ず一度はどこかでご覧になっていると思います。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「白テンを抱く貴婦人」です。
世界に3枚しかないというダ・ヴィンチの油絵ポートレートのうちの1枚で、さすがにこの絵だけは別格らしく、特別室に掲げられ、監視員に見守られていました。
なお、この写真はこれ以上は拡大できませんので、ご了承ください。
さて、午前中の観光を終え、旧市街のレストランで昼食後は、明日の朝まで自由時間になりましたので、私は数人とともに、ヴィスワ川を挟んで、ヴァヴェル城の対岸にある「マンガ館」に行くことにしました。
と言っても、決して「漫画」を見に行ったわけではありません。ここは、1994年に日本美術マニアだったポーランドの著名なコレクター、故フェリクス・マンガ・ヤシェンスキ氏が収集した7000点に及ぶコレクションをもとに設立された、れっきとした国立博物館なのです。
浮世絵では広重の作品のほか、師宣、重政、歌麿、写楽、北斎などの浮世絵史上で著名な作家の作品のほとんどを揃え、このほか、日本画、木彫り、武具、漆器、着物などの展示もあり、異国に来て、本国の文化に触れた味はまた格別なものがありました。ただ、作品保護のためか、全体的に照明が暗く、鮮明に見られなかったのは残念でした。
「マンガ館」を後に、橋を渡って再び旧市街に入り、中央市場広場までぶらぶら歩いていきました。実は昨日目をつけておいた旧市庁舎の塔の上に登ってみたかったのです。
入場料の4ズウォティ(約130円)を払って螺旋階段を登り、最上階に着いたまではいいのですが、ここはグダニスクの市庁舎とは違い、ベランダがなく、ただ四方の壁それぞれについている窓から外を眺めるだけのものでした。
これではとても360度の展望とは言えず、ちょっとがっかりしました。
左の写真は、東側の窓から撮ったもので、なにやら大道芸をやっているのが見えました。
この後、同行の方々と別れ、ひとり旧市街を散策後、この日の夕食は、胃を休めるため、軽食と決め込み、帰路、途中のファストフードの店で、カバブとジュースで済ませ、迎えのバスでホテルに戻り、この日の日程を終えました。