2日目

( 101)

トラブゾン エルズルム

 

715分、起床。昨夜の睡眠、3時間ではきついこと!

手早く朝支度、パッキング後、スーツケースをドアの外に出し、8時に朝食に下りる。昨夜遅かったので、一番乗りかと思いきや、既に3人来ていた。メニュは、もちろんトルコ料理のビュッフェである。

905分、ホテルを出発、昨夜と同じ道を通ってトラブゾン近郊の観光に向かう。

トラブゾンは、黒海の海岸線近くまで迫り来る山々のスロープに貼り付くように築かれた町で、歴史的建造物に富み、年間を通じて湿潤温暖、緑に恵まれ、黒海のエメラルドと呼ばれている由。現在の人口は28万人で、修理工場などが多く見られたが、進むにつれ、黒海が右手に見えてきた。港にはロシアやウクライナの船が行き来しているとのこと。ここでは鰯がよく獲れるとか。

 

アヤ・ソフィア

観光はまず市の中心部から西へ行くこと3km、黒海を見下ろすように建っている教会、アヤ・ソフィアから始まった。

創建は古く5世紀に遡るらしいが、現姿は13世紀改修の典型的なビザンティン後期の建築物で、中央に高いドームがあり、その前後左右に赤い屋根が伸びている。また、その建物の西側には高い塔が建っているが、これは1427年完成のものとか。

「アヤ・ソフィア」とは「神の知恵」という意味だそうで、オスマン時代にはモスクとして使われ、20世紀中ごろからは博物館となって現在に至っている由。

教会の入口には鷲、アダムとイブなどの人類創造、カインとアベルなどのレリーフがあり、また内部の天井や壁面には、聖母マリアやキリストの洗礼・奇跡・最後の晩餐・処刑・復活など、聖書のシーンを描いたフレスコ画が描かれていたが、隆盛時の生々しさを感じさせる見事なものであった。

 

1020分、アヤ・ソフィアを後に再びマチカに戻り、昨夜泊まったホテルの前を通って次の観光スポット、スメラ僧院へと向かう。

ハエがかなりバス内に侵入してきて煩わしかったこと!走行中は密閉状態なのだが、出入りの時に入ってきてしまうようだ。

30分ほど走ると道は上り坂にかかり、やがて町を抜け、完全な山間の道に入った。

1105分、後で昼食をとる予定のレストラン前に到着、小憩後、2台のミニバスに分乗し、人里を離れたところにあるスメラ僧院を目指す。曲がりくねった山道を結構なスピードで飛ばす。揺れに揺れ、身体を水平に保つのに大変だったが、濃緑の中に白亜の家々が点在する風景は素晴らしく、心が癒される思いであつた。

 

スメラ僧院

1145分、車が止まった。到着かと思いきや、ここからのスメラ僧院の眺めが一番象徴的ということで、フォト・ストップしてくれたのだった。

ガイドの指差すほうを見上げると、あった! 建物が垂直の断崖に張り付いたように建っている。瞬間、鳥取県のの投げ入れ堂のことが頭に浮かんだ。あちらは木造だが、へばりついている様はよく似ている。

建物の建っている場所は海抜1300mの山の300mの地点だという。よくもまあ、人力や牛馬以外に頼れる動力のない14世紀にこんな上まで建築機材を運び上げ、建造したものだ、と感心させられる。

どうぞ、写真をご覧いただきたい。しがみつくように造築された僧院を見ると、修行僧たちの凄まじいばかりの生き様が想像されて空恐ろしい気さえする。

僧院は、ここから更に3分ほど車で上り、更に旧坂を徒歩で約10分ほど行ったところに入口があり、そのすぐ先が階段になっていた。やれやれ、まだ登るのか。

ここで下手な川柳を。「スメラ僧院 登りつめれば また階段」

 

「聖母マリア」を意味するこの僧院は、チャペルだけでなく、図書館や集会所、水道橋や台所など6階建て全72室にも及ぶ建物の集合体で、伝説では、聖ルカが描いた聖母のイコンが、奇跡により、ここへ運ばれたため、その奇跡を称えてギリシア人修道士がここに聖堂を建てたのが始まりとか。

14世紀の建造で、20世紀初頭のロシアの侵入時まで存続したとのこと。奥まった所にある洞窟の内部や外壁には、見事なフレスコ画が数多く残されており、見応えがあったが、中には心無い者のいたずらか、落書きも随所に見られ、心痛む思いであった。このように歴史的・文化的価値の高いフレスコ画の保存をトルコ政府はどう考えているのだろうか。局外者とて大いに気になるところである。

 

1245分、帰路につく。ミニバスのところまで思い思いに下ったが、途中、一人の女性が、別の道に入ってしまい、ガイドが探しに行くというハプニングあり。それでも何とか1315分、出発でき、今度は山の反対側の道を通って、途中で写真ストップしつつ、30分ほどで先ほどのレストランに着き、遅い昼食にありつけた次第。

このレストランは「ALTINTAS」といい、ラズ人家族が経営する店で、ここが僧院訪問の基点になっているようである。

ちなみにラズ人の特徴はワシ鼻で、鼻の高さはギネス認定とか。

なお、ここでのメニュは、スープ、野菜サラダに焼魚(マス)、それに洋ナシであった。

 

1440分、レストランを後に一路、今夜の宿泊地エルズルムに向け、出発。

15時過ぎからは山道にかかり、ジガナ峠越えで、ジガナ・トンネルを通過する。このトンネルは長さ1.7kmで、トルコで2番目に長いとか。ちなみにこの峠の一番高いところは2030mの由。

1605分、ギュムシャハーネのガソリンスタンドで、15分ほどトイレストップ。

トルコでは、こうしたガソリンスタンドが、日本のドライブインにあたり、売店があり、軽食もとれるようになっている。日本ではドライブインに付随してガソリンスタンドがあるが、こちらではその逆で、ガソリンスタンドが主で、それに売店や喫茶店がくっついている感じである。

峠を越えると、打って変わった大平原が現れた。写真に収めたかつたが、バスの揺れが激しいので、撮ることができず、残念なり。

しばしまどろんだ後、ふと目を開けると、ちょうどもう一つのユップ峠の道を走っており、眼下の谷間に雄大な眺めが広がっていたが、ちょうど薄暮にかかっていた。

1810分、アシュカという町のガソリンスタンドでもう一度休憩をとった後、エルズルムのホテル「ポラット」に着いた時は既に1920分で、さすがに辺りは真っ暗になっていた。

ホテル到着後はすぐそのままレストランに直行し、ビュッフェ方式の夕食をとり、本日の日程を終えた。

(本日の歩数 7750

 

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