第5日目
(6月7日)
朝食後、ホテルを8時35分に出発。スライゴを後に、かつて大氷河群が創りあげた美しい自然の風景が広がるコネマラ国立公園に向かう。
外は雨なり。薄ら寒い。そう言えば、今朝はホテルのロビーで暖炉に火がともっていたっけ。
進むにつれ、雨は一旦は遠のいたが、途中のホテルでトイレ休憩していると、また降り始めた。
「休憩の 間に驟雨に 追いつかれ」
とかくするうちにコマネラ地区に入り、起伏に富む地形に、羊や牛の群れを散見するようになった。
途中、山と湖の風景に溶け込んだかのように美しい景観のカイルモア修道院で写真ストップする。
ここは、もとは1860年代にイギリスの下院議員でマンチェスターの富豪、ミッチェル・ヘンケーが、妻のために建てた城館であるが、第2次世界大戦でベルギーのベネディクト派の修道院が焼失し、焼け出された修道女が移ってきて以来、修道院として使われ、現在は寮制の女学校にもなっている由。
大きくえぐられたU字峡谷の湖畔にあるため、数あるアイルランドの城の中でも屈指の美しさを誇るとか。
またも雨が降り始めたのは残念であった。
次いでコネマラ国立公園に着き、ビジターセンターを起点に約1.4kmのミニハイクをしたが、折から雨が激しくなり、みな完全武装でのハイキングを余儀なくされる。
「雨の中 景色も霞む 遊歩道」
時おり馬を見かけたが、コネマラ一帯は馬の産地として名高く、特にコマネラ・ポニーは有名で、先祖はアイルランド沖で沈んだスペインの無敵艦隊に乗っていて、泳いで上陸してきたといわれている。
ともあれ、景色を楽しむどころか、まさに雨中の行軍となってしまった。
コネマラ国立公園を後に、コネマラ地方の中心都市で緑濃い美しい自然に囲まれた町、クリフトゥンのレストランで昼食をとり、次いで約30km北東に向かい、映画「静かなる男」の舞台となったコリブ湖畔の村コングを訪れる。
映画撮影に使われた小屋(下左写真)は意外に小さく、中では土産物など売っている上に、しかも入場料も取るとあって、商魂見え見えで、入る気にもならなかったが、わずかに小屋の前を流れるコリブ川の景観(下右)に心救われるものがあった。
そもそもアイルランドに来たいと思ったのは、ジョンフォード監督、ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ主演の「静かなる男」の舞台となった、この場所に魅せられたのが大きな理由であったのに、あまりに周りが俗化しすぎていて、いささかがっかりであった。 「商魂に 映画のイメージ 程遠く」
その他、今は廃墟と化してはいるが、一部に見事な彫刻が残るコング修道院を寸見し、今夜の宿泊地ゴールウェイに向かう。
6時15分、ゴールウェイのホテルに到着、本日の日程を終了した。