オビエド
コバドンガを後に更に西へ走ること約1時間半、アストゥリアス州の州都オビエドにやってきました。
緑豊かな盆地の中央、小高い丘(標高236m)の上にあるオビエドは、8世紀後半にベネディクト派がここに修道院を建てたのが町の始まりといわれますが、18世紀に兵器製造所ができたこと、19世紀に石炭層が開発されたことが契機となって鉱工業が発展し、現在ではアストゥリアス地方の経済と文化の中心で、近代都市に変貌しています。
一方、近代的な市街とは対照的に大聖堂を囲む旧市街には、かつての領主邸の大きなファサードが今も誇り高く立ち並んでおり、凝ったレリーフが見られました。
市内のレストランにて昼食中、あいにく雨が降り出し、傘を差しての旧市街の徒歩観光となりましたが、道には聖地サンティアゴ・デ・コンポステラの方向を示す貝のマークが埋め込まれ、ここが巡礼の道であることを認識させられたり、古き時代の人々の素朴な生活ぶりを示す彫像があるなど、興味津々たるものがありました。
旧市街の中心には大聖堂が聳えるように立っています。フランボワイアン・ゴシック様式独特の建築であるこの大聖堂は、14世紀に内庭回廊から造営が始まり、16世紀中頃にポーチと南塔ができて完成したとか。南東はスペイン内戦後に再建され、高さ80mだそうですが、明り取りの小窓のあいた短い尖塔のシルエットをほっそり見せているのが印象的でした。ファサード(正面)はゴシック様式の玄関を3面もつ珍しいもので、扉はいずれもクルミ材が使われており、キリストなどの姿が刻まれています。
サンタマリア・デル・ナランコ教会
次いで、オビエド市内から北西4キロの地点にあるナランコ山の麓に移動し、サンタマリア・デル・ナランコ教会を訪ねました。
ここは、848年にラミーロ1世が、離宮を建てたときの礼拝堂を後に改造して教会としたもので、この様式は、アストゥリアス・プレロマネスク様式と呼ばれ、オビエド周辺にだけに見られる貴重な宝である由。
11世紀頃ヨーロッパ各地に広まったロマネスク様式に先行すること200年余り、小規模、長方形の身廊、半円アーチの多用、飾り付き窓など、素朴な中に神の存在をひしひしと感じさせる空間が特徴のようです。
バスを降りて、雨の中、10分ほどぬかるんだ道を歩いての見学となりましたが、確かに素朴ながら調和のとれた線が魅力的でした。
以上で、オビエド周辺の観光を終え、本日の宿泊地 レオン に向かいました。