4日目(1)

(4/8)

 

セブ島→ボホール島

 

4時50分起床。昨夜はぐっすり眠れたが、久しぶりに英語で喋っている夢を見た。昨夜のイタリア料理店のオーナーに料理を褒めたところ、いたく感激された夢である。それだけあのオーナーの印象が強かったということだろうか。

5時30分、1階の Café Uno まで朝食に降りる。

カフェの内部はめっぽう広く、籐の椅子が南国らしいいい雰囲気をつくっていた。

ビュッフェ方式ながら、メニューは肉類、野菜類、果物、ジュース類と、どれも種類が豊富で、まずは不満のないものであった。

特に果物は南国だけあって、あらゆる種類のトロピカル・フルーツが揃っており、他のものはともかく、果物には目がない私にとって、うれしい限りだった。

 

7時ちょうどにホテルを出発、20分ほどで、セブ港に到着したが、なかなか下車の合図がない。

不審に思っていると、なんと我々の乗る予定の8時30分発のボホール島行きの船は、エンジン不良のためキャンセルになったとのこと。

我々の船は、レイテ島からこの島に来たときと同じ会社のスーパーキャットであったが、フィリッピンでは、こういうことは珍しいことではないらしい。お客が少ないと、沖合いでは波が荒いからと、欠航を決め込むこともあるらしい。

代替の船に乗るべく、そちらのゲート近くに移動し、助手が乗船手続きに行っている間、我々はバスから出て、道路際に立ち並ぶお店の人たちと思い思いに束の間の国際交流に興じた次第。

私は覗かなかったが、店の奥は住居になっており、テレビまであるとか。生活は貧しくとも、皆めげずに明るいのが印象的だった。

そうこうするうちにも時間はどんどん過ぎていく。何を手間取っているのか助手は一向に戻らない。

これではボホール島へ着いてからの観光にも支障が出かねない。我々を退屈させまいと、いろいろとフィリッピン事情を話していてくれた流石のガイドのSさんも、だんだんと表情がこわばってきた。

 

バスが止まってから40分経って助手がやっと戻ってきた。なんと、最初の船のエンジンが直ったというのだ。

Sさんの顔もパッと明るくなり、急ぎ、そのゲートまで立ち戻り、ターミナル内に入って、例のドッグの嗅覚による手荷物検査を終え、待合室で乗船合図を待つ。

ところが、15分ほどすると、なんと再び、欠航とのアナウンスが入り、みな唖然。日本では考えられないことだが、ここは日本ではない、フィリッピンなんだ、と自らに言い聞かせるより他ない。

バスは帰してしまったし、一時進退極まったかに思えたが、Sさんや駆けつけた旅行会社の人らの必死の努力で、代替の船への乗船の手筈が整い、再び呼び寄せたバスに乗り、そちらのゲートに移動し、更に1時間近く待たされた上、当初の船よりかなり小さな船に乗り込み、出航した時は、予定の時間より、2時間半余り遅れた11時05分になっていた。

この船はあまり人気がないのか、乗客もまばらで、船室では好きなところに座れたが、窓がない上、冷房が強烈で、いた堪れず、時々はデッキに出て暖をとる始末であった。現地の人々もやはり船室では寒いのか、殆どの人はデッキでずっと過ごしていたようだ。

右の写真がデッキの風景で、奥のドアの向こうが船室になっている。

 

ともあれ、セブ海峡を行くこと約1時間半、船は無事ボホール島北西にあるツビゴン港に到着した。

当初の予定では南西のタグビララン港に入港するはずだったが、船会社の違いでこうなった由。

直ちに現地ガイドの花子さん(これは俗称で、れっきとしたフィリッピン女性)に迎えられ、迎えのマイクロバスに乗り込む。

これまでは大型バスでゆったりと座ってきたのに、急に窮屈になったが、贅沢は言っていられない。郷に入れば郷に従わざるを得まい。

予定よりだいぶ遅れているが、当初の観光予定スポットは全部周れると言われ、安心する。

出発してすぐ、昼食は遅くなるからと、花子さんからパンとジュースの差し入れあり、とりあえずの空腹を癒すのに十分であった。

道の両側には背の高いココナッツ椰子の木々が生い茂り、南国ムードたっぷり。しかし途中で未舗装道路に入ったため揺れたこと。それに雨も降り出し、視界が悪くなり、この先が心配になってきた。

 

再び舗装道路に入ったところで、幸いにも雨もあがり、程なく、ボホール島最初の観光スポット、チョコレート・ヒルの麓に到着した。港から約1時間の行程であった。

下車し、直ちに214段あるという展望台への急な階段を喘ぎながら登った。展望台では、噂に違わぬ、まさに絵に描いたような幻想的な世界が広がっていた。1258個もあるという高さ30〜40mのチョコレート色の小丘が、まるで地平線の果てまでも続いているかのようである。ここがボホール島最大の見どころというのも頷ける。

どうしてこんな丘がかくも沢山できたのか? 誰もが不思議に思うが、丘の殆どがサンゴ礁から成る石灰岩でできていること、それに貝殻が多く出土していることから、大昔は海底であったということは確からしいが、その形成過程は未だ謎であるとか。

 

( 続いて次ページをご覧ください )

 

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